歯列矯正を保険適用で受けるには?適用されない場合に治療を受けるには?

歯列矯正を保険適用で受けるには?適用されない場合に治療を受けるには?

歯科ハミール高田88院長 赤崎 公星 先生

歯科ハミール高田88院長
赤崎 公星 先生 監修

最終更新日: 2025-01-01

「歯列矯正の費用が高すぎて、なかなか踏み切れない...」
「保険は使えないのかな?」

歯並びを治したいと考えていても、治療費用の高さにためらう方は多いのではないでしょうか。実際のところ、歯列矯正における保険適用の条件や、費用を抑えるための方法にはどのようなものがあるのでしょうか。

本記事では、歯列矯正における保険適用の条件から、具体的な費用の目安、さらには費用を抑えるためのさまざまな方法まで、詳しく解説していきます。

また、保険適用外とされる理由についても分かりやすく説明しますので、歯列矯正をご検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。

歯列矯正が保険適用になる場合

歯列矯正が保険適用になる場合
歯列矯正は基本的には保険適用外になります。ただし、一部の症状に限り、保険適用となるケースがあります。

日本矯正歯科学会では、以下のように記載されています。

  1. 「別に厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療
  2. 前歯及び小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る。)に対する矯正歯科治療
  3. 顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術前・後の矯正歯科治療

引用元:矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは | 公益社団法人 日本矯正歯科学会

具体的には、以下のような症状です。

顎変形症 永久歯萌出不全に起因した咬合異常
症状 顎の骨格的な異常により、咬み合わせに問題が生じる病気 永久歯が適切な時期(6歳頃)に生えてこない状態
保険適用になるための条件 ・指定の医療機関で顎変形症の診断を受ける 歯ぐきを切って歯を出す手術が必要
・顎の骨を切る外科手術を受ける

ただし、上記の症状に当てはまる場合でも、次のプロセスを経る必要があります。

  1. 矯正医による診断
  2. 診断書の作成
  3. 保険機関による審査

その他、保険適用となる場合の条件や歯科医院について、以下で解説します。

厚生労働大臣が定める疾患

歯列矯正が保険適用になる条件として 「別に厚生労働大臣が定める疾患」 があります。この疾患とは、次のものです。

唇顎口蓋裂 / ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む。) / 鎖骨頭蓋骨異形成
/ トリーチャ・コリンズ症候群 / ピエール・ロバン症候群 / ダウン症候群 / ラッセル・シルバー症候群 / ターナー症候群 / ベックウィズ・ウイーデマン症候群 / 顔面半側萎縮症 / 先天性ミオパチー / 筋ジストロフィー / 脊髄性筋委縮症 / 顔面半側肥大症 / エリス・ヴァンクレベルド症候群 / 軟骨形成不全症 / 外胚葉異形成症 / 神経線維腫症 / 基底細胞母斑症候群 / ヌーナン症候群 / マルファン症候群 / プラダー・ウィリー症候群 / 顔面裂(横顔裂、斜顔裂及び正中顔裂を含む。) / 大理石骨病 / 色素失調症 / 口腔・顔面・指趾症候群 / メビウス症候群 / 歌舞伎症候群 / クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群 / ウイリアムズ症候群 / ビンダー症候群 / スティックラー症候群 / 小舌症 / 頭蓋骨癒合症(クルーゾン症候群及び尖頭合指症を含む。) / 骨形成不全症 / フリーマン・シェルドン症候群 / ルビンスタイン・ティビ症候群 / 染色体欠失症候群 / ラーセン症候群 / 濃化異骨症 / 6歯以上の先天性部分無歯症 / CHARGE症候群 / マーシャル症候群 / 成長ホルモン分泌不全性低身長症 / ポリエックス症候群(XXX症候群、XXXX症候群及びXXXXX症候群を含む。) / リング18症候群 / リンパ管腫 / 全前脳胞症 / クラインフェルター症候群 / 偽性低アルドステロン症 / ソトス症候群 / グリコサミノグリカン代謝障害(ムコ多糖症) / 線維性骨異形成症 / スタージ・ウェーバ症候群 / ケルビズム / 偽性副甲状腺機能低下症 / Ekman-Westborg-Julin症候群 / 常染色体重複症候群 / 巨大静脈奇形(頸部口腔咽頭びまん性病変) / 毛髪・鼻・指節症候群(Tricho Rhino Phalangeal症候群) / クリッペル・ファイル症候群(先天性頸椎癒合症) / アラジール症候群 / 高IgE症候群 / エーラス・ダンロス症候群 / ガードナー症候群(家族性大腸ポリポージス) / その他顎・口腔の先天異常

引用元:矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは | 公益社団法人 日本矯正歯科学会

上記に含まれる先天性の疾患であれば、歯列矯正が保険適用となります。

保険で歯列矯正をおこなってくれる歯科医院の探し方

上記の症状に当てはまる場合であっても、すべての歯科医院で保険適用される矯正治療をおこなえるわけではありません。厚生労働大臣が定める施設基準に適合している地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関のみが対象です。

これらの歯科医院の探し方については、以下のとおりです。

  • ご自身の地域の厚生(支)局のホームページにアクセス
  • サイト内検索に「施設基準届出受理医療機関名簿」を入力
  • 県別の受理医療機関より歯科のPDFを探す
  • PDFから「矯診」あるいは「顎診」の指定医療機関を探す

参考元:矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは | 公益社団法人 日本矯正歯科学会

保険適用の場合はどのような矯正器具になる?

保険適用の場合の矯正器具は、基本的にはワイヤー矯正になります。前述の症状があった場合においても、マウスピース矯正は見た目の改善を目的としているからです。

ただし、ワイヤー矯正の表側・裏側・ハーフリンガルなどは選択できます。

保険適用・保険適用外の歯列矯正の費用目安比較

保険適用・保険適用外の歯列矯正の費用目安比較
保険適用される場合とされない場合では、どの位の費用差があるのでしょうか。保険適用外の費用については歯科医院によって異なりますが、以下で 参考の相場を比較してみました。

保険適用外 保険適用
ワイヤー矯正(表側矯正) 60〜130万円 18〜40万円
ワイヤー矯正(裏側矯正) 100〜170万円 30〜50万円
ハーフリンガル矯正 80〜150万円 24〜45万円

具体的な費用は、歯列の状態によっても異なるので、一度歯科医院に相談してみましょう。

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歯列矯正が保険適用外なのはおかしい?適用されない理由は?

歯列矯正が保険適用外なのはおかしい?適用されない理由は?
歯列矯正の保険適用外について疑問を感じる方もいるでしょう。実際に 「いつになったら保険適用になるのか?」「保険適用ではないのはおかしい」 と言う声も見受けられます。

  • 日本はなぜ歯列矯正が保険適用にならないのでしょうか。他国では中学生までの矯正が義務付けられていたり、保険適用対象となるなど歯並びを重視されていますが、日本では大体の場合100万前後の費用が必要です。なぜなのでしょうか。
    引用元:Yahoo!知恵袋

  • 歯列矯正っていつになったら保険適用されるのですか?
    引用元:Yahoo!知恵袋

では、なぜ歯列矯正は保険適用にならないのか?その理由について、以下で解説します。

歯列矯正は審美目的と判断される

歯列矯正は主に審美目的の治療として判断されています。多くの場合、歯並びの見た目の改善を目的として行われる からです。

健康保険は病気やケガによる経済的負担を軽減するための制度 であり、審美的な改善や予防的な治療は適用範囲外とされています。

そのため、矯正治療に必要なカウンセリングから調整まで、すべての費用が自己負担となります。

医療保険は生活に支障があることが前提

健康保険は生活に重大な支障がある場合のみ適用される制度 です。健康保険の本来の目的は、病気やケガにより日常生活が困難になった場合の医療費負担を軽減することです。

歯列矯正の場合も、顎変形症など外科的手術が必要な重度の症状でなければ保険適用されません。

そのため、通常の歯並びの矯正や軽度の不正咬合の治療費は、全額自己負担となります。

保険適用外の場合に安く歯列矯正を受ける方法

保険適用外の場合に安く歯列矯正を受ける方法
歯列矯正の保険適用ケースに当てはまらなくても、負担を抑えて治療を受ける方法があります。 これにより、一括での支払いが経済的に厳しい場合でも歯列矯正を受けられるでしょう。

主な方法は、以下の7つです。

  1. 安い矯正装置を選ぶ
  2. 部分矯正を選ぶ
  3. モニターとして治療を受ける
  4. 医療費控除を受ける
  5. デンタルローンの活用
  6. 分割払いの利用

それぞれの具体的な方法や費用目安について解説します。

安い矯正装置を選ぶ

安く歯列矯正を受けるなら、安価な矯正装置を選びましょう。矯正装置の種類によって費用に大きな差があるからです。

具体的には、金属製の表側ワイヤー矯正が最も安価 で、次いでマウスピース矯正、次に裏側矯正という順番で費用が高くなります。見た目にこだわりがなければ、矯正方法の選択次第で費用を抑えられます。

部分矯正を選ぶ

前歯など気になる部分のみを治療する部分矯正であれば、治療範囲が限定されるため、全体矯正と比べて費用が安い です。

費用は全体矯正の半分程度の費用で、治療期間も短いというメリットがあります。ただし、症状によっては全体矯正が必要となる場合もある ため、まずは歯科医師に相談してみましょう。

モニターとして治療を受ける

モニター制度を利用すれば、通常より安く矯正治療を受けられます。治療の症例写真や動画の使用許可、アンケートへの協力を条件に、歯科医院が費用を大幅に割り引いてくれる のです。

ただし、モニター募集は常におこなわれているわけではなく、条件も限定的です。そのため、複数の歯科医院のモニター情報をチェックしてみると良いでしょう。

医療費控除を受ける

機能的な問題の改善を目的とした矯正治療であれば、医療費控除の対象となります。噛み合わせの改善など、医療上の必要性が認められる治療は、保険適用外でも医療費控除の申請が可能 です。

具体的には、年間10万円以上の医療費を支払った場合、確定申告により税金の一部が還付 されます。ただし、審美目的の矯正は対象外となります。

デンタルローンの活用

デンタルローンを利用すれば、矯正治療の費用負担を軽減できます。 一括払いが難しい高額な治療費を、低金利で分割して支払えます。

ただし、審査が必要となるため、必ず利用できるとは限りません。

分割払いの利用

クレジットカードの分割払いも検討しましょう。歯科医院によっては、クレジットカードの利用が可能な場合があります。

そのため、デンタルローンの審査が通らない場合でも、クレジットカードがあれば多額の費用がなくても治療を受けられます。

ハーウェルでもクレジットカード払いに対応している歯科医院を紹介しています。コンシェルジュがお悩みに合った医院をご紹介しますので、矯正治療の費用に不安がある場合も、ぜひご活用ください。

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歯列矯正の保険適用は厳しい基準がある

歯列矯正の保険適用は厳しい基準がある
本記事では、歯科矯正における保険適用の条件や費用を抑えるためのさまざまな方法をご紹介しました。治療費用はたしかに気になる点ですが、一番大切なのは、ご自身の症状や希望に合った適切な治療法を選ぶことです。

まずは保険適用できる可能性も含め、複数の歯科医院で相談してみましょう。きちんとした情報収集と専門医への相談を通じて、ご自身に最適な治療計画を見つけられます。

しかし、どうしても費用がネックになる場合は、分割払いなどに対応している歯科医院を選びましょう。ハーウェルでは、矯正の実績が豊富かつクレジット払いに対応している歯科医院もご紹介できます。簡単な質問に答えるだけで希望に合った医院をご紹介しますので、まずはお気軽にご登録ください。

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